学長・薬学部長・教授を紹介

帝京大学 薬学部長 教授 栗原 順一 先生

時代が求めるチーム医療教育を実現する教育環境を整備

第103回薬剤師国家試験の合格実績が良好でしたね

 板橋キャンパスへの移転後に入学した学生が初めて卒業するという節目の春に、全国の新卒合格率84.87%を5%近く上回ることができました。医療系学部が集結した板橋キャンパスの環境を生かした取り組みの成果が、ようやく数字にも現れるようになってきたのだと思います。このような合格実績が数年続けば本物。気を抜かずに頑張ります。

学習環境が整ってきましたね

 板橋キャンパスに全面移転したことにより、医学部や医療技術学部と連携した教育を実現する環境が整いました。例えば、1年次に行われる医学部解剖学実習室での実習や一次救命処置の実習では、他学部の専門職教員から指導を受けられます。また、1年次の早期臨床体験や5年次の病院実務実習では、校舎に隣接する医学部附属病院の協力を得ています。
 6年制薬学教育プログラムは、薬学教育評価機構による第三者評価を7年毎に受けます。本学は2017年度に受審し、学習環境について特に高い評価をいただきました。この恵まれた環境を生かした取り組みをさらに進めていけば、2015年度の入学生から適用された新しいモデル・コアカリキュラムで学ぶ学生たちが卒業するときには、本学がさらに大きく飛躍できると信じています。

カリキュラム変更は影響していますか

 新しいモデル・コアカリキュラムには、「学修成果基盤型教育」の考え方が取り入れられ、学修成果(アウトカム)として達成すべき10項目の「薬剤師として求められる基本的な資質」が明示されました。本学では、その基本的資質を「倫理観とプロフェッショナリズム」、「チーム医療を通した患者中心の医療への参画」、「医薬品の適正な調製と取扱い」、「薬物治療の実践」、「国民の健康維持と地域医療への貢献」、「科学的探究心」の6つのアウトカムに整理し、卒業時の目標としています。
 また、新しいカリキュラムにおいては、各授業科目とアウトカムとの関連性を示した「カリキュラム・マップ」と、各アウトカムを達成するための授業科目の繋がりを示した「カリキュラム・ツリー」を学生に示すことにより、「何のために学んでいるか」を常に意識できるように工夫しています。
 今後は、アウトカムを達成して「実践的な臨床能力のある医療人としての薬剤師」を世に送り出すために、他の医療系学部・学科や医学部附属病院と連携できる環境を最大限に生かしたカリキュラムをさらに整備していきたいと思います。

3学部合同のカリキュラムについて教えてください

 医療人養成教育という点で医療系3学部に共通の基盤となる「医療共通科目」が1年次の必修・選択科目として多数開講され、3学部の学生が一緒に授業を受けています。
 特に薬学部では、ヒューマニティ・コミュニケーション教育に力を注いでおり、1~5年の各学年に演習授業が必修科目として設定されています。そのうち、1年次の「ヒューマンコミュニケーション」と4年次の「医療コミュニケーション」では、3学部合同の授業が実施されています。
 1年次のヒューマンコミュニケーションでは、良好な人間関係を築くためのコミュニケーションの基本を学んだ上で、チーム活動の在り方を3学部合同で学びます。
 4年次の医療コミュニケーション演習は、チーム医療を想定した症例検討です。3学部約600名の学生がチームを組んで、それぞれの学部・学科の専門性を生かして患者さんの治療・療養計画について討議します。演習の最後には、医学部附属病院の医療チームによる模擬カンファレンスを参観し、質疑応答を行って学びを深めます。

実務実習について教えてください

 6年制薬学教育においては、薬局や病院での実務実習が薬学部での学習成果に大きな影響を及ぼします。また、薬剤師国家試験では、実務実習での経験が役立つ実践的な問題が増えています。
 モデル・コアカリキュラムの改訂に伴い、薬局と病院での実務実習の在り方も見直されました。その結果2019年度からは、実践的な臨床対応能力の修得をめざして、より公平で幅広い参加・体験型の実習が行われますので大変楽しみです。その適正な実施のために、大学・薬局・病院の三者間の連携強化を進めています。また、大学での臨床準備教育も強化され、がん、高血圧症、糖尿病、心疾患、脳血管障害、精神神経疾患、免疫・アレルギー疾患、感染症といった、いわゆる「代表的な8疾患」についての統合型学習を十分に行ってから22週間の実務実習に臨むことになります。
 関東地区では学生が実習薬局を調整機構のリストから選択できるようになりましたので、大学として地域薬局の特徴や役割をしっかり把握し、適切な指導・アドバイスを行うように心がけています。

学習支援の取り組みについて教えてください

 入学と同時に各学生に担任教員が1名割り当てられ、日々の学習や大学生活全般について相談を受ける体制になっています。また、薬学教育研究センターの専任教員や学習支援委員会の教員も担任教員と連携して学生の支援を行っています。
 ただし、学習は本来、学生が主体的に行う必要があります。また、多様な人々と協働して学ぶ姿勢も重要です。
 帝京大学の教育理念である「自分流」は、主体的な学びを通して自立した学習者・社会人になることをめざしています。その理念に則って、授業時間外の過ごし方など、良い習慣をできるだけ早く低学年で身につけられるよう、手厚く指導しています。 学長・薬学部長・教授を紹介