大学情報

●教育目標

 医薬品の創成とその適正な使用法の確立、生活環境の安全・安心の確保等を通じて人類の健康に奉仕し、豊かな社会の発展に貢献することができる人材を育成します。学生のキャリア形成のニーズに応じた学修が可能な先進研究コース、Pharm. Dコース及び薬学研究コースの3コースを設け、社会が求める多様な薬学人材の輩出を目指します。

○「創薬科学」の研究教育拠点

 薬学は、「ヒトの健康確保を考究するサイエンス」であり、薬は勿論のこと、食品、化粧品、環境など、その研究対象は広範で、将来の活躍場所とその機会は無限大としています。薬学には、人生を賭けるだけの「夢と希望」がつまっているからです。
 そして大阪大学薬学部には、「病気の不思議を解明したい!」、「難病に対する薬を創りたい!」という「夢と希望」に応え、叶えるだけの環境が整っています。
 大阪大学薬学部は、世界と戦える薬学研究教育拠点としてさらに発展し、「この5年でOnly Oneに。10年でNumber Oneに。」を合い言葉に研究活動を展開しています。

○研究者教育に主眼を置く

 薬学教育を受けた研究者に対するニーズは、今後一層高まります。日本の健康科学発展のため、産官学の各分野で薬剤師博士(Pharmacist-Scientist)が求められています。
 大阪大学薬学部は、社会の要請に応えるため4年制と6年制の長所を融合させた教育改革「全6年制薬学教育」が最適と考えて教育改革を進めています。
 6年間の薬学教育の中に、目的別の3コースを設置。大学院一体化による「独創と共創」に基づく薬学教育を展開し、薬学研究者育成を主眼とした教育・研究を特色にしています。

○カリキュラム・ポリシー

 「高度な専門性と深い学識」、「教養」、「国際性」及び「デザイン力」を修得するために必要な科目を全学共通教育及び薬学専門教育において体系的に編成し、講義、演習、基礎実習、実務実習及び長期課題研究等を適切に組合せた授業を行います。

薬学部2号棟

●学びの特色/環境

○早期体験学習

○一般入学の学生

 早期体験学習として大阪大学医学部附属病院の薬剤部や病棟、保険薬局、介護施設の見学実習を行います。また公立研究機関(医薬基盤・健康・栄養研究所)や製薬会社の研究所(JT医薬総合研究所)などを見学して薬学研究者の職場に触れることができます。
 行政・医療機関・企業で働く卒業生を招いた講義を行います。希望者は厚生労働省や独立行政法人医薬品医療機器総合機構を訪問する機会もあります。
 救命救急士の資格をもつ薬剤師や看護師などの協力を得て障がいの体験学習や救命救急への対応について学んでいます。

○教員の構成

 専任教員数/47名(教授18名、准教授10名、専任講師5名、助教14名)(2019年11月1日現在)

●施設・設備

○講義室/大講義室、中講義室、小講義室、セミナー室がありセミナー室はCBTにも使用します。
○実習室/薬学実習棟、薬学実習棟。実務実習事前学習は、薬学実習棟2で行います。1階に調剤室、無菌調整室、2階に模擬薬局、DI・カンファレンス室、TDM室。
○自習室/薬学部自習室、1号館セミナー室、リフレッシュ室が自習に利用できます。
○ITの活用/大阪大学学務情報システム「KOAN」から、シラバスや個人成績が閲覧できます。システムには「就職支援システム」や「進路・就職 報告システム」もあり情報収集が可能です。薬学専用システムではありません。
  • 医療薬学実習棟

    中講義室

  • 医療薬学実習棟

    薬学実習棟2(調剤実習室)

  • 医療薬学実習棟

    自習室

●学科構成

 2019年度入試から4年制と6年制を融合させた独自の「新全6年制薬学教育」を導入。1学科3コースになりました。
自習室 自習室

▶︎先進研究コース

 教育目標は、博士号の学位と薬剤師免許を有する薬剤師博士(Pharmacist-Scientist)として薬学・医学研究、薬事行政、医療や薬学教育などを牽引する人材の育成です。
 キャッチフレーズは「研究三昧コース」。キャッチフレーズの通り学部と大学院博士課程を合わせて10年一貫の研究・教育を行うことが特徴です。
 学びのスケジュールも独自に開発。4年間の学部教育を経て一旦休学。大学院博士課程に飛び入学します。大学院への飛び入学は、医学部が行うMD. Ph.Dを応用したもの。この間「医薬品開発のグローバル人材育成プログラム講義」など高度な内容も学びます。博士(薬学)の学位取得後に学部に復学。実務実習を最終学年の10年目に実施するなど先端研究の継続性を重視した斬新なカリキュラムです。
 大学院博士課程在学中は、授業料に相当する金額を給付。経済的な負担軽減も図られています。

・グローバルで活躍する創薬研究者の育成。
 国際舞台において先端創薬研究者として活躍する薬剤師博士(Pharmacist-Scientist)を養成します。
・薬事行政を牽引する人材の養成。
 厚生労働省やPMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)などにおいて、我が国の保険医療に関わる薬事行政を牽引する薬剤師博士(Pharmacist-Scientist)を養成します。
・薬学・医学研究者の育成。
 薬学部教授などの教員は、博士号の学位を取得し、広範な知識や研究経験を有する研究者です。アカデミアにおいて次代の先端薬学研究を担う薬学者の育成をめざします。

 このコースは、推薦入試合格者を対象にしますが、条件を満たせば薬学研究コース、Pharm.Dコースからのコース変更も可能です。

▶︎Pharm.Dコース 薬学研究コース

 一般入試の合格者が対象です。入学時はコースを選択せず2年間の薬学基礎を学びます。その中で興味をもった分野(研究室)を選択します。選択した研究分野によりコースが決定します。

○Pharm.Dコース

 Pharm.Dコースは、日本の薬学部では唯一といえる世界に通じるPharm.D(大阪大学)を持つ「研究型高度薬剤師」を育成するコースです。
 早期から臨床経験を積み、臨床力と研究力を併せ持つ薬剤師を育成。将来は、最先端の臨床機関等で薬剤師のリーダーとして、また厚生労働省やPMDAなどの官公庁において活躍する人材の育成を目指します。
 このコースでは以下の先端医療を提供する関連施設と連携し、3年次から患者さんと触れあう早期臨床体験学習を行います。また学部3-4年次は医学部や歯学部、附属病院、薬学部の臨床系研究室などで横断的な教育を行います。さらにPMDAや製薬会社の方を招いた講義も特色です。
 ・大阪大学医学部・医学系研究科
 ・大阪大学医学部附属病院
 ・大阪大学歯学部附属病院
 ・国立病院機構大阪医療センター
 ・国立循環器病研究センター
 ・大阪国際がんセンター
 ・大阪大学系列病院

○薬学研究コース

 薬学研究コースは「薬科学科+修士課程」と「6年制課程」を機能的に合体しました。研究力の向上には連続した研究時間が必要。そのため実務実習の実施時期を後ろ倒しにして長期の研究期間を確保しています。3年次から6年次12月までの研究で学会発表や論文発表が可能なレベルまで育成します。
 このコースでは、「創薬基盤技術力」を高めるとともに、臨床経験を積み、臨床現場で得た臨床ニーズを創薬研究に生かすことができることが強みです。患者を知り、病気を知る創薬研究者を重点養成します。
自習室
大阪大学薬学部HPにリンク【新6年制 教育システム】
大阪大学薬学部HPにリンク【よくある質問】

●実務実習事前実習/実務実習

●実務実習事前実習

 事前実習を行う薬学研究科医療薬学実習棟には、調剤室、無菌調整室を始め、模擬薬局やDI・カンファレンス室、TDM室などを設置して共用試験をバックアップしています。
 患者ボランティア団体の協力で接遇や服薬指導などのロールプレイも実施されています。
 実務実習実施前に、中核病院や介護施設での見学実習、薬局薬剤師による導入講義などを行い、実務実習に必要な知識・技能・態度やモチベーションを高めています。
 学内の実務家教員が指導にあたりますが、必要に応じて特任助教・外部講師が支援しています。
 事前実習施設・指導教員・連携する医療施設の充実度は、全薬学部の中でもトップクラスです。

○共用試験結果(2018年度)

 CBT合格者/32名、 OSCE合格者/32名、 共用試験合格者/32名
  • 医療薬学実習棟

    医療薬学実習棟

  • 医療薬学実習棟

    模擬病室

  • 医療薬学実習棟

    模擬薬局


  • ●実務実習・実習先

    ○病院

     大阪大学医学部附属病院で実務実習を行います(薬学部の実務家教員1名が常駐)。

    ○薬局

     近畿地区調整機構を通じて行います。4年次に希望アンケート調査を行い、学生の希望があれば「ふるさと実習」も可能としています。

    ○実務実習後の進級など

     「実務実習(病院)」後、学生・指導教員・ティーチングアシスタント・実務実習先の指導薬剤師などを対象にプレゼンテーションを行います。

●研究活動

 薬学部のホームページ上に最新の報告論文リストを掲載。多数の企業などとの共同研究が特色です。例えば以下のような大阪大学薬学部オリジナルの研究があります。
○毒性学分野
 発展がめざましいナノマテリアル分野は、医薬分野だけでなく化粧品や食品分野にも貢献する研究。産業界に直結した研究であり、研究者を業界に輩出しています。
○生命情報解析学分野
 双子は同じ遺伝子をもちますが成長の過程で違いが生じます。受精卵の分化や後天的な修飾で遺伝子発現を制御・維持するエピジェネティクスの研究を行っています。新薬の開発につなぐ研究です。
○細胞生理学分野
 抗体創薬や核酸創薬は注目されていますが高価になりやすいのが欠点です。大阪大学の知財である特殊な核酸(人工核酸)は、核酸の分解酵素・ヌクレアーゼ耐性があります。有機化学的手法でエコな核酸医薬品の創出に向けた研究が注目を集めています。

○卒業研究

 ︎3年次から選択した研究室で長期課題研究(卒業研究)に取り組みます。研究成果は、学術論文に準じた様式による長期課題研究論文(卒業論文)としてまとめ、長期課題研究発表会(12月)で発表します。

●就職と薬剤師国家試験

○就職先の傾向

(2019年3月の実績)
 薬学部の学生は、製薬など企業に就職する学生が最も多く、病院薬剤師、薬局薬剤師と続きます。就職率はほぼ100%です。
 新全6年制薬学教育への移行は社会のニーズを捉えたものですから、さらに就職内容が充実するものと考えられます。
※詳細は就職実績のページをご覧ください。
 

●薬剤師国家試験

 薬剤師国家試験の準備は、研究室が中心になってスタッフ・大学院生が支援し毎回高い合格実績を誇っています。

○実績(出願者数名/受験者数/合格者数/合格率)

第101回(2016年卒/5期生) 24名 / 24名 / 22名 / 91.67%
第102回(2017年卒/6期生) 23名 / 23名 / 22名 / 95.65%
第103回(2018年卒/7期生) 26名 / 24名 / 21名 / 87.50%
第104回(2019年卒/8期生) 26名 / 26名 / 23名 / 88.46%
第105回(2020年卒/9期生) 27名 / 27名 / 24名 / 88.89%
(いずれも6年制新卒の実績)

●修学状況

 入学した学生はほぼ揃って卒業しますが、ストレートでの国試合格率は90%を切ります。企業をめざす学生が多いことから、資格取得にこだわらないのかもしれません。
○ストレート卒業率/96.0%(2019年3月卒業生)
○ストレート国試合格率/88.0%(2019年3月卒業生)
 2019年3月卒業生の修学状況は大学のHPでは公表されていません。

●卒後研修など

○卒後研修会

 薬学部の同窓会(薬友会)と連携し、医療現場で活躍する医師や薬剤師を招いた卒後研修会を行っています。

○地域連携

 病院薬剤師、薬局薬剤師等の医療従事者向けに「大阪大学薬学部卒後研究会」、「北摂地域薬剤師交流研修会」などを実施。講習会は一般市民にも公開しています。

●入試のポイント

○入試 コースと募集人員

 2019年度入試から4年制と6年制を融合した独自の「新全6年制薬学教育」を導入しました。
 3コースは、薬剤師国家試験の受験資格が取得可能です。
▶︎先進研究コース 募集定員15名 選考方法は推薦入試のみ。
▶︎Pharm.Dコース 薬学研究コース 募集定員 65名 選考一般入試。

○入試対策

 データなし

○入試科目

 大学入試センター試験/国語、地歴公民、理科、数学、外国語の5教科7科目。
 一般入試前期日程は、個別入試(数学、理科、外国語の3教科4科目)と調査書により合格判定されます。

○併願など入試の環境

 薬剤師教育の観点では、多職種連携教育(IPE)の重視が考えられます。
 2021年には、和歌山県立医科大学に薬学部が誕生。また大阪薬科大学と大阪医科大学の連携が「大阪医科薬科大学」に進展します。IPE教育が可能な薬学部は併願の1校になるでしょう。
※近畿大学は医学部附属病院を別キャンパスに設置。

●リメディアル教育など

 高校の学習履歴を考慮した履修システムを導入しています。


学習支援

 進級が困難となる可能性のある学生を抽出して履修指導を行います。またキャンパスライフ健康支援センター、学生相談室が相談・支援を行っています。

●学費・奨学金

●学費

入学金/282,000円、授業料/535,800円 初年度納入金/817,800円

●大阪大学授業料免除等制度

 学部または大学院の学生で、経済的理由により授業料(入学料)の納入が困難な学生を対象に、授業料(入学料)免除の申請制度があります。
 授業料(入学料)の納入期限が猶予される収納猶予等の申請制度もあります。

●高等教育修学支援制度による授業料等免除制度

 本学が認めたとき、授業料(入学料)の全部または一部の納入を免除(納入期限が猶予)します。

●先進研究コースの大学院学費給付

 4年間の学部教育を経て、大学院博士課程に飛び入学というユニークな学びが特徴です。この大学院博士課程在学中は、授業料に相当する金額を給付して、経済的な負担軽減を図っています。

●豊中キャンパスと吹田キャンパスが学生生活の舞台

 薬学部に入学後の1年半は豊中キャンパスで語学などの教養教育を受けます。
 2年次後期には、吹田キャンパスに移動して薬学基礎教育を受けます。吹田キャンパスには実務実習でお世話になる医学部附属病院、歯学部附属病院もあります。
○吹田キャンパスへのアクセス
 大阪モノレール「阪大病院前」下車。徒歩約15分。
 千里中央から阪急バス「阪大本部前」行き、終点下車、徒歩約7分。
 JR京都線「茨木」駅下車、近鉄バス「阪大病院経由阪大本部前」行き終点下車。徒歩約7分。

○キャンパスの移動

 1-2年次は豊中キャンパスで共通教育科目を学び、2年次後期から吹田キャンパスに移動します。
 そのため下宿する学生の中には、豊中キャンパスと吹田キャンパスの両方に通うことを考えて柴原や蛍池にアパートを借りる人がいるようです。
 両キャンパスの中間の千里中央か桃山台付近にアパートを確保できれば自転車通学ができるので理想的。家賃が課題です。
原稿制作/薬系進学(株式会社ネオリッチ)